Creamクリーム
ことわざに「クリームは必ず表面に浮かんでくる(嚢中の錐、優秀な人間は必ず頭角を現すの意)」というものがありますが、パンや焼き菓子づくりにおいては、この言葉は確かに真実を突いています。こってりとしたクリームがケーキに柔らかさを、そして焼き菓子にうっとりするような甘さをもたらしますが、デザートソースやアイスクリームでは、クリームは液体としてだけではなく脂肪分としての役目を果たし、豊かな味わいと、当然のことながらクリーミーさを与えます。クリームにはデザートソースを均一化するという効果があり、すべての材料の風味を一つにまとめてくれます。シュークリームやパンプキンパイ、いちごショートケーキなどのデザートでよく使われるホイップクリームは、ケーキや焼き菓子をデコレーションしたり、中に詰めたりする際に欠かせません。ムースやカード(凝乳)、カスタードクリームに混ぜることで、味わいに軽さが加わり、驚くほどなめらかでクリーミーな食感になります。
均質化処理を行っていない全乳をしばらく置いた際に表面に浮かんでくる乳脂肪分が豊富な層がクリームです。クリームと呼ばれるためには、乳脂肪分が18%以上なければなりません。カリフォルニアで生産されているクリームはすべて低温殺菌されています。
- ウィーン風菓子の店でよく見かける“Mit schlag”という表記は「ホイップクリームと共に」という意味です。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、脂肪分の高い生クリームをホイップしてデザートに添えると、濃厚さが和らぎます。
- しっかりとホイップするためには、ホイップ用生クリームの乳脂肪分が30%以上であることが必要です。うまくホイップするためには、クリームもボウルも泡だて器もすべてよく冷やしておきましょう。短時間でしっかりとしたホイップクリームを作るには、ある程度ホイップできてから、砂糖を加えるようにします。
- 焼き菓子やパンの表面に脂肪分の多い生クリームを刷毛で塗って焼くと、表面がきれいなきつね色になります。
ライト・ホイップクリーム
ライト・ホイップクリーム(低脂肪ホイップクリーム)は、30%以上36%未満の乳脂肪分を含んでいます。ホイップクリームを作るためには、乳脂肪分が最低でも30%必要です。
ヘビークリームおよびヘビー・ホイップクリーム
ヘビークリーム(高脂肪クリーム)やそれをホイップしたヘビー・ホイップクリームには、36%以上の乳脂肪分が含まれています。
ハーフ・アンド・ハーフ
ハーフ・アンド・ハーフは、全乳とクリームを混ぜたもので、乳脂肪分は10.5%以上のものを指します。市販のクリームの容器には、ハーフパイント(約237ml)、1パイント(約473ml)、1クォート(約946ml)の各タイプがあります。
- 全乳にバターを入れて溶かし、ソース状にします(牛乳約240mlに対しバターを大さじ2杯の割合)。ヘビークリームとは違い、このように作ったものはホイップできません。
- 甘めに作りたければ、バニラアイスを溶かします。アイスクリーム約240mlが240mlのヘビークリームに相当します。レシピに記載された砂糖の分量は適宜調節してください。これもホイップすることはできません。
- 美味しいバタースコッチソースを作るには、片手鍋に同量のブラウンシュガーとヘビークリームを入れ、弱火にかけて温めます。砂糖が完全に溶けるまでかき混ぜてください。
- あらかじめホイップクリームのデコレーションを準備したいときは、まず冷凍庫に入る大きさのオーブン用天板にアルミ箔を敷いておきます。天板の上に少量ずつのホイップクリームをスプーンで載せるかパイピングし、それを冷凍庫で30分冷やします。天板を冷凍庫から出し、ラップでしっかりカバーし、また冷凍庫に戻します。食卓に出す30分前に(温かいデザートの場合、食卓に出す直前に)、凍ったホイップクリームのデコレーションをデザートに載せます。